私の母は美容師です。朝早くから夜遅くまで必死に働き、女手ひとつで私を育ててくれました。そんな母の後姿を見ながら、いつのころからか私は美容師という職業に憧れを持ち、“母を楽にさせてあげたい”という思いで美容師の世界に飛び込みました。しかし当時の業界はまだまだ職人意識が強く、働く人が技術を身につけると辞めるということを繰り返していたのです。共に働く仲間がすぐ去ってしまうという悲しい経験もたくさんしました。そこで私は、出来るだけ長く仲間と一緒に働きたい!そして一生安心して働いてもらえるような美容室を作りたい!と強く思い1989年“ann”を創業したのです。「みんなが一緒になって理想的な美容室を目指す」それが創業の念いです。
私たちは、自分が幸せになる為に生きています。それ自体は至極自然な欲求です。しかし、自分の幸せだけを考えて生きていくのはあまり好ましいことではありません。なぜなら、私たち人間は、決して一人では生きていけず、周囲の人たちに支えられて生きているからです。ゲストにお越しいただけるから、技術も上達するし、お給料もいただけます。共に働く仲間がいるから、成長したり、喜びを分かち合えることが出来るのです。そして、良い社会があるから、快適で安全な生活をおくることが出来ているのです。自分の幸せと共に周囲の人の幸せに貢献する会社、自分の幸せと周囲の幸せの調和のとれる会社でありたい。これが株式会社アンの根本精神です。
より美しくなりたいという思いは全てのゲストの願いです。その願いが叶ったとき、ゲストから心からの笑顔が溢れます。そしてゲストの笑顔に貢献できた喜びで、私たちも心からの笑顔が溢れるのです。ゲストの笑顔、私たちの笑顔、ひとつひとつを積み重ね、笑顔の輪をひろげていきたい。それを仲間みんなと一緒になって創り出したい。それが私たちの理念です。
私たちは美容業を通して、お客様に価値を提供しています。その価値が高ければ高いほど、お客様から“心からのありがとう”が頂けます。そして、そのことが私たちのやりがいとなり、更なる“ありがとう”を頂く努力へと導いてくれるのです。“心からのありがとう”の循環は、より良い地域や社会を創るための源だと考えます。私たちは“心からのありがとう”が溢れ、人が輝く美容室を仲間みんなと一緒になって創ります。
私たちは美容室のディズニーランドを目指します。ディズニーランドは「夢と魔法の王国」です。訪れた人すべてが笑顔になり、楽しい思い出を手に入れるのです。私たちも美容という仕事を通し、人間味あふれるおもてなしとプロフェッショナルな魔法の力で、ゲストが最高の笑顔になるためのお役立ちを行ってまいります。
人柄の温かさとは、この人は私をだまさない、裏切らない、見捨てないという安心感を与えてくれるものである。私たちは相手の温かさを感じ取るように生まれついている。そして温かみが欠けていることにも敏感だ。温かい人柄であるように演出したり、ふりをしたりしても、すぐ見破ることができる。だからこそ、キャストとして採用した人物が性格的に冷たくよそよそしくしても、ゲストに接する時に、温かく振る舞うように訓練すればいいと考えるのは、ひどく愚かな考えだ。温かい人柄は、人間味あふれる最高のおもてなしを提供する上での絶対条件である。
温かさと共感力は強く結びついているが、その違いを知り、確実に両方を兼ね備えているキャストをそろえることは大切である。温かい人柄の人は他者に対して肯定的な気持ちを持ち、それを表現しようとする。共感する力とは他者が今どういう状況であるかを先読みし、その人の役に立つ形でコミュニケーションをとることができる能力だ。例えば共感力が高いキャストは、あえてプライベートな話題を避けたほうがいい状況、言うべきことをはっきりと主張する状況、相手を傷つける質問を控えるべき状況をわきまえているなど状況判断力に優れている。
おもてなしを提供するという仕事は時にキャストを疲弊させる。苦労が水の泡になることもあれば、想定外の事態も起きる。そんな時に物事を悲観的に受け止めてしまうと、窮地を脱して成果を出すことはできない。多くの仕事で成功と失敗をわけるもっとも重要なのは、知性、経験の差ではない。それよりも「楽観的に解釈する態度」の持ち主であるか、悲観的な解釈をするかどうかである。気分の切りかえの早さ、提案力、営業力の高さも楽観的な態度から生まれてくる。但し、時として軌道修正のきく悲観主義の一面を持ちあわせることも必要だ。悲観主義だからこそ、とことん考えてミスを防いだり、「今は全てが上手くいっている」と安易に満足したりしないといった謙虚で前向きな姿勢になれるのである。
あるキャストがゲストに温かく接し、気遣い、相手の反応を楽観的にとらえることができたとしても、仮にそのゲストの情報を、同じチームとして働く仲間に伝えなかったとしたらどうだろう。仲間と連携しながら、そのゲストのニーズに応えることを頑として拒んだとしたらどうだろうか。密に連携して業務をおこなっているチームでこういう態度を押し通せば、あらゆる場面でトラブルを招きやすい。
誠実さという資質には責任感の強さ、勤労意欲の高さ、勤勉さ、細部にまで手を抜かない注意力など幅広い要素が含まれる。誠実なキャストは間違いなく業務をこなし、ひとつひとつの仕事を熱心に取り組み、整理整頓が行き届き、最期までやり遂げることに誇りをもっている。温かい人柄で共感力が高く、ものごとを楽観的にとらえ協調性があっても、仕事ぶりが誠実でなければ何の役にも立たない。
自立(自律)とは、与えられた状況を受け入れ、その中で自らが源となってプラスの方向に働きかけていくことである。また自立(自律)は上記能力全ての土台となるものであるし、逆にいうと、自立(自律)度が低い状態では、どれも求められるレベル以上の力を発揮することができない。具体的には仕事を通して自己変革・自己成長を図ろうとする向上心の高さ、能動的で独立した態度・行動、長期的・本質的・複眼的に思考できる力、チームで仕事ができる力のことである。